アボジの墓参り~韓国旅行② | ひさみん日和

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アボジの墓参り~韓国旅行②

上のお兄さんのマンションに着いたのは
二日目の晩のこと

入院しているというお兄さんが
「大丈夫、そのまま来い。ちゃんと言ってある。」
とは言ったけど、直前になって奥さんに告げるのも
韓国ナムジャ(男子)あるあるだ

一抹の不安を抱えながら
電車とタクシーを乗り継ぎマンションへ
到着するとなんと、お兄さんが出迎えに!

ああ、やっぱり
日本から私たちが来るから
きっと無理やり外泊したに違いない
ひょっとしたら抜け出してきた?
しかも明日は検査とかなんとか言っていたような

部屋に入ると娘夫婦が来ていて
夕飯の支度をしていた

「お母さんがいないから何も用意してなくて
キムチや置いているものばかりでごめんなさい。」

そう言ってあれこれ並べてくれて
これで十分、申し訳ないくらい

お兄さんのお嫁さんは後妻さんで
最初の奥さんは子どもたちが幼いころに
白血病で亡くなった

当時、田舎の山や田畑を全部売っても
助けてくれと連絡があり
広島の日赤病院へ夫は義兄と一緒に訪ねて行き
カルテを取り寄せ医師に見てもらったりした

一日も早く脊髄移植が必要とのさなか
お嫁さんの命は尽きてしまった

昔からとても優しいお姉さんだったと
皆の心に残っている

後妻にきたお姉さんはとても料理上手な人で
私たちが韓国に行くたびにたくさんの料理で
もてなしてくれた

今は夜遅くまで働いているという
会わない7年間で何があったのだろう

私が一番よく食べたのは
韓国海苔、韓国でも高い本物の岩海苔だ

近年、韓国から日本へ需要が高まり
たくさんの海苔を輸出しているが
本当に高価な海苔は国内で消費されるという

娘さんの旦那さんはとても優しい人で
私が知る時代の男性とは違う
積極的に手伝いよく動いていた
ある世代から韓国の家族の在り方が
変化していることを感じた

夜遅くにお嫁さんが仕事から帰ってきた
どうやら聞いていなかったらしく
私たちもだが、入院しているはずの
自分の夫がいることにも驚いたはずだ

疲れた様子のお姉さんの部屋を借りるわけにはいかず
私たちはリビングで寝ることにした

そして、翌朝は早い時間に出発しようと夫がつぶやいた

朝になると、客人をご飯も食べささずに
帰らせるわけにいかないと
朝ご飯を用意してくれていた

 

手前のはお兄さんが自分が川で捕ったという
何かの貝のキムチでこれがとても美味しかった

三日目の朝、お兄さんの車で出発

おそらく大切な用事があったはずのお兄さんだが
田舎まで乗せていってくれるという

その前に、真ん中のお姉さんの家に寄るという

夫の兄弟姉妹は夫を含め全部で6人

長女、次女、三女、長男、次男、三男(夫)の順

これで、次男以外全員に会えたことになる

約二時間半、車に揺られ
9時半、韓国の南に到着
仁川から何か所もめぐりながら
北から南までたどり着いた

後ろに見える岩が有名で
映画の撮影地にもなったのだとか

お姉さんはちょうど近所に出かけており
外で散策しながら待つことに

まず、お姉さんの家の壁の絵に驚く

なんて、楽しそうなんだろう!

あたりを見回すと、特別ではないことに気づく

ちょっと歩いてみよう♪

どのお家も夢があって素敵
私も描いてみたい

そうこうしていたら
真ん中のお姉さんがトラクターで帰ってきた

アイゴ~チョムや~と抱きつくお姉さん

その前に、先に長男に同じように
頭をなでるその様子がとても微笑ましかった
そうか、お姉さんにとっては
長男も同じように可愛い弟なんだ

夫けんちゃんが、数年前に亡くなった
お姉さんの旦那さんの墓参りに行きたいと申し出

山を登るから智子は家で待ちなさいと言われ
おとなしく待つことに

外見は田舎の古い家だが
中はリフォームされ綺麗な空間だった

自分の息子が何日もかかって
完成させたらしい

家の外にはずらりとかめのオンパレード
キムチ、テンジャン(味噌)、コチュジャン(唐辛子みそ)
カンジャン(醤油)他いろいろ

昔は各家庭全て手作りでこうやって保存していた

墓参りからもどり、そろそろお昼
お昼を食べに行こうとなり出かける

車で30分くらい走るとお店がある町に

夫と私のリクエストは《ジャジャンミョン》

連日、辛さとの闘いに胃が疲れていた夫と
再びスンデは免れたい私の意見が一致した

昔から韓国には中国料理の店が多くあり
韓国式中華料理というべきか
日本の中華料理とも違う

韓国では店の前に駐車場なるものは特にない
周りの道路が空いていれば駐車が許される
日本では考えられないけど

鳥の天ぷらと唐揚げの中間
タレをかけて食べる

ジゃジャン麺~これこれ!

昔、韓国で初めて食べた時は
日本にはない味だったから
なんだ、これ?と思ったけど
今はほんと美味しいと思う

カンジャジャジャン
カンジャーはじゃがいものこと
ごろごろのジャガイモと玉ねぎの食感がまたいい

海鮮チャンポン~辛い!

これを注文している人も多かった

お姉さんを送り届けた後
再び進路は北へ
お兄さんの隠れ家たる場所へ案内される

綺麗な山水がいくらでも流れる山の中で
たくさんの羊を飼っていた

初めて田舎へ連れていかれた時
黒い羊が田んぼのあぜ道につながれていたのを思い出す

この羊たちは売ることもあるし
自分の家で食べてしまうこともあるんだ

そこからさらに車で40分
夫が子どものころに暮らした田舎
先祖代々とアボジ(お父さん)が眠るお墓がある

あちこちにタケノコが生えていて
放っておくと全部竹になってしまって大変だと
歩きながら足で蹴とばして折ってゆく

ちょっともったいない気がしたけど
食べきれないよね

 

アボジのお墓にお酒を手向けて

つまみは猪が来るから持って帰ることに
あちこちに掘り返された跡があった
韓国も日本とおなじなんだ

 

自分が死んだらこの辺に
骨を撒いてくれとお兄さん

韓国も日本と同じく
お墓事情が変わりつつあり
先祖代々土葬で行ってきた風習も
終わりを迎える
そうなった後の山の管理が心配な様子だった

墓のある山は売ることはできない

お兄さんは広大な土地に
畑を耕していた
肥料が1袋70円程度で配布されるという

最初に出会った頃は大きな声で
怖い人だと思っていたけど
歳を重ねて身体も壊し
なんだか弱弱しく思えた

再婚した頃から次男と折り合いが悪く
オモニを連れていかれてからは
ろくにオモニにも会えていないらしく

それでも一人で楊家の家系を守ろうと
一生懸命生きてこられたんだろうな
楊一族は中国からこの地にやってきたらしく
とても古い家系図が遺されている

家系を継ぐ資格が男子にしかないのならば
お兄さんの家には男子は後妻さんの連れ子で
本来ならばうちの長男だが日本にいるし
二番目のお兄さんの末っ子が男子だが
この先どうなるのだろう

そんなことを考えていると
日本に居て知らぬ存ぜんは申し訳ない気がしていた

田舎から再びお兄さんの家に戻って泊まる話だったが
お嫁さんに気を使ったのか、予定を変更して
最寄りの駅から急きょ電車に乗ることに

ええ~、また移動ーーー

この辺りは道が整備されていて
道路わきに誰でも縦列駐車できるように
白線がひかれていた

 

マンションの駐車場も
誰が何番とは決まっておらず
空いている場所に駐車する
実に効率の良い考えと思うが
日本人の性質にはそぐわないかも知れない

電車が動くまで見送ってくれたお兄さん
どうかお元気で!

18時過ぎの快速電車に乗り込み
スウォンに着くのは21時過ぎの予定

駅には最初に空港まで迎えに来てくれた
二番目のお姉さんの娘たちが来てくれる予定

そして時間があるのは明日の一日だけ
オモニに会う希望を最後まで持ち続けよう

しかし、このあと思わぬアクシデントが起こる。。。

~長くなったので、つづく~

 

 

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けんちゃんのいりこ屋店長・ひさみん(久光智子)
けんちゃんのいりこ屋店長・ひさみん(久光智子)

鞆の浦でいりこ屋を営んでいます。趣味は描く、綴る、歌う。特技は有り合わせで思い付き料理を作ること。
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