Iさんとの出会い | ひさみん日和

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Iさんとの出会いは
昨年の春

友達の結婚式に着て行く訪問着が
誂えてまだ一度も袖を通していない着物で

しっかりと折り目がついていたので

皺をのばしてくれる専門家はいないものかと
ブティックモンナカさんに相談したら

この方ならなんとかなるかも

と紹介して頂いたのがIさんでした

彼は、クリーニング店を営んでいて
通常のクリーニングとは全く違う

しゃぼんだま石けんなど
環境にも身体にも優しい材料を使い
汚れを落とすという

まさにこだわりの
洗濯スペシャリストでした

きれいに仕上げてもらった訪問着で
無事に友達の結婚式に出席

どうでしたか?

と気にかけていただき
メッセで写真を送りました

訪問着わかるでしょうか?

通常、襟の下に折り目が付くんですが
Iさんはこの折り目を取ってくれただけでなく

今までずっと常識と思っていた
襟のたたみ方ではなく
折り目のつかない工夫を教えて下さいました

 

 

それからほどなくして

今まで落ちなかった頑固なシミも
落とせるかも知れないとの話から

母が気に入っていた白いレース糸の
カーディガン

白いはずなのに数十年来のシミだらけで
黄色なのかクリーム色なのか
十人中九人は諦めて捨ててしまうレベル

シミこれはひどい・・・ 🙁

もしかしたら

Iさんなら落とせるかも知れないと
持ち込んだところ

できる限りやってみますと
引き受けてくださいました

数日経って、連絡があり

きれいになりました
すごいですよ!!と 😯

そして、仕事終わりに
わざわざ鞆の浦まで
持って来て下さったのです

Iさんのお店は島にあるので
鞆の浦までは小一時間かかります

せっかくなので
鞆の友達二人も紹介しようと

夕方4人で待ち合わせ
一緒におてびで食事をしました

私たち三人は
中華そばを

Iさんは、せっかく鞆まで来たからと
刺身定食を頼まれました

中華そば

 

それから、鞆の浦のシンボル
常夜灯で写真を撮りました

常夜灯

 

夕暮れ時の空がとてもきれいで
三日月が常夜灯に映えて

常夜灯

常夜灯に上がって腰掛け
少年のようにほほえむ彼は
とても穏やかで嬉しそうに見えました

調子に乗って
「 私たち鞆の浦パフュームなんで
三人撮ってください」と

三人でポーズを 😆

これがその時
撮って貰った写真 😆

常夜灯

その時の穏やかな空の色を
今でも時々思い出します

鞆の浦

仕上げてくれたカーディガンは
それはもう新品のように
真っ白に蘇り 😮

カーディガン着るのがもったいないくらい 😀

 

もしかしたら新品以上の
輝きを放っていました

 

三回目にIさんのお店を訪ねたのは
友達の結婚式で着た

その訪問着を
洗ってもらうためでした

何度来ても道に迷うと言うと
え、どこがですか??

と笑って
いつも私の夫ネタの投稿が
面白いと言ってくれました

着物のクリーニングは
どこに出しても外注で他所に行くのだけど

手作業で一枚一枚丁寧に
時間を掛けて仕上げてくださる
本来のクリーニングとは全く違う
職人さんに頼みますかと聞かれ

そちらを選択することに

日にちはかなりかかるのは承知の上

それから数ヶ月が経過し

職人さんが高齢で体調が優れないため
いつになるかわからず

いったんお返ししましょうかという

急いだ物でもないので
待ちますからいいです

と私

それからさらに一年

忙しさを理由に
こちらから連絡もせず・・・

几帳面なIさんのことだから
気になっておられるだろうな

いつか鞆で洗濯のワークショップを
しましょうと言ったのに
そのままになっているのも気になりつつ

そんなとき

長女が孫の七五三で
自分も着物を着たいと言ってきた

その時直ぐに浮かんだのが
Iさんにお願いしたままの訪問着

それで思い立って連絡したところ・・・

先月亡くなったと
知らされたのでした

偶然とは思えないタイミングに
心が震えました

Iさんの突然の死は
周りの誰にも
大きなショックを与えました

なぜ、どうして

あんなに熱心に情熱を持って
自分の仕事に誇りをもって
取り組んでおられたのに

なぜ、どうして

生きていたら
あなたを必要とする人たちが
たくさんいるのに

なぜですか

なぜなの

どうして

どうして

虚しさと
怒りにも似た悲しみと

言葉では言い表せない感情が
私の心を支配して

ありがとうと言えばいいのか
悔しいと言えばいいのか

わからない

先日、雨の中
Iさんのお姉さんが
着物を探して持って来て下さいました

訪問着

ちょうど外出中でお会いできなかったので
お礼の手紙を書きました

あの時、常夜灯で撮った
写真を添えて

手紙

 

 

どんな苦しみの中にも

生きることは

希望に満ちている

 

生涯現役の医師として
105歳まで医療に携わり

多くの患者を看取ってきた
日野原重明さんが

迫り来る死を直前に
遺された言葉です

人生の中には、ときとして
重く苦しく

八方ふさがりのような状況が
襲いかかるときもある

誰しも死にたいと
本気で考えることだってある

だけど

やっぱり死んだらだめ

死んだらお終い

そこは

しあわせとも笑顔とも無縁の世界

私たちの寿命はいつまでかは
誰にもわからないけど

その時が来るまで
精一杯生きて

今を生きて

這いつくばっても
生き抜いて

あなたにも
わたしにも
だれにでも伝えたい言葉です

Iさんのご冥福を心からお祈り致します
鞆の浦

 

 

 

 

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けんちゃんのいりこ屋店長・ひさみん(久光智子)
けんちゃんのいりこ屋店長・ひさみん(久光智子)

鞆の浦でいりこ屋を営んでいます。趣味は描く、綴る、歌う。特技は有り合わせで思い付き料理を作ること。
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