立春の日にお別れ | ひさみん日和

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立春の日にお別れ

太陽

周りで親戚や知り合いが
相次いで亡くなるとき

哀しみの中にも生きている者たちは
残された日々を大切に生きよう
その人の分も一生懸命生きようと

考えるきっかけになるものです

でも、中にはそう思うには
時間が必要な場合もあるのだと
初めて知りました

家族や親戚や恋人でなくても・・・

朝陽節分の朝・・・

「新聞のお悔やみ欄、見て」
同級生からの連絡にまさか!と
心臓の鼓動が早くなった

そこには、中学の同級生の名前が

ついにその時が
訪れてしまったんだという思い

少し前から、彼の葬儀の光景が
何度も浮かんでいた

もしかしたらそれは
一年以上前からの予感だったのかも知れない

 

お風呂でふと浮かんだ詩を
書きとめた

後にこの詩に曲を乗せて
歌ってくれた人がいます

そのことは以前のブログ(4/26)で綴っています

 

中学の最初の入学式の日、教室で
「先生、見えません!」と手を挙げて

眼鏡をかけた坊主頭のその男子は
一番後の席から一番前の席へ
私の隣に座ったのが最初の出会いでした

三年間、同じクラスだなんて
奇跡かも、よほど縁があったのかなと
大人になってからもずっと思っていたけれど

卒業から37年経ったある日
今からちょうど5年前

ふとしたきっかけで再会したあの人から

「どうしても貴女に伝えておきたいことがある」
と、告げられた

「一年生の三学期、終業式が近づくにつれ
僕はどうしても貴女と離れたくなくて
毎日、職員室へ『同じクラスにしてくれ!
でないと僕は学校に来ない!』と
先生に何度も何度もお願いしに行ったんだ。」

そんなまさか
今頃になってのカミングアウト?

嬉しくて悲しくて見上げた空は
涙でぐちゃぐちゃになっていたから
その時スマホで撮った忘れられない空

特別な空

そんなことも知らずに
知らんぷりして三年間
彼を振り回した自分への後悔と

それでも三年間
全てを遠くで見ていてくれた
言葉では言い尽くせないありがとうの気持ち

 

葬儀では、高校時代のユニフォームが
飾ってあって

5年前、再会したときも
カープの選手や高校野球の試合や
自分の野球人生を熱心に語ってくれた彼の
言葉を思い出して涙が止まりませんでした

とても優しくて温かな夫
そして良き父でしたと喪主の奥さんが語られた

彼の手帳には、春になったら
『家族で花見』と記されていたそうです

今日は家族で最後のお花見です、と
棺の向こうに一枝の桜の花

今日は立春
旧暦では一年の始まり

ここから春が始まるのに
それを待たずに逝ってしまった人

天井を見上げたら無数の星空に
時折、流れ星

人は亡くなったら
自分の葬儀の様子を上から
眺めていると言うでしょう

あなたもどこかで見ていますか

100人分泣いてあげるねと
冗談で言った約束は全部は守れない

だって、家族よりも泣いてしまったら
誰が見てもおかしいでしょう?

 

お互いの築き上げた生活に安堵し
この先ずっと家族に囲まれて
幸せが続きますようにと心から願った

「仕事して結婚して子育てして
元気に生活していることが
それだけでもとても凄いことなんだよ」

自分はダメだと思ったとき
幾度、この言葉に励まされ前を向いたことか

二人のことは二人にしかわからない
いつか二人の物語を本にしようと語ったあの日

あなたの人生の物語は終わってしまったけれど
あなたが残してくれた数々の言葉に支えられて
残された者たちの物語はこれからも続く

好きとか愛してるとか
男女とか恋愛とか恋人ではなく

懐かしく愛おしい人でした

ずっとずっと私の中で
そんな存在でした

初めて会った瞬間から
あなたは既に
なぜか懐かしいと感じた人でした

 

静寂の中に昇る朝陽

朝陽
オレンジ色の空に沈む夕陽

夕陽
青い空に浮かぶ白い雲

雲
キラキラと眩しい太陽

太陽
雨上がりにかかる七色の虹

虹
海に映る月の光

月夜

海が大好きだと言ったなあなたに
写真だけでも見せてあげたかった

これから私は
美しい景色に出会う度に
今までとは違う思いで眺めるでしょう

いつか小さなボートを買って
ひとりでのんびり揺られながら
大好きな本を読んで一日を過ごしたいと

ささやかなその夢は
今、叶っていますか

私にはあともう少し
時間が必要です

忘れるのでもなく
気を紛らわすでもなく
誤魔化すのでもない

この世で役割を終えて
次の冒険へと旅立ったあなたを
心から祝福できるその時まで

あともう少し
時間が必要なのです

私にできることは
生きていたときもそうだったように

今までもらった思い出や
笑顔や言葉全てに
感謝して大切に生きること

時々思い出して前を向くこと

彼の愛する家族の幸せを願うこと

そして、今まで以上に
私の家族を大切に想うこと

無口でシャイで大事なことを
最後まで何も言わなかった人

“にんじん”とあなたにあだ名をつけた
親友の“おみや”も旅立ってしまい

私はひとり取り残されました

今頃、二人で逢えていますか
思い出話に笑っていますか

久しぶりに鍵を開けて
開いてみた卒業時のサイン帳

大好きだったおみや

サイン帳こんなに人参の絵をたくさん
描いていてくれたんだね

サイン帳うんうん、忘れないよ
あなたのこと

“さみしいときにこのページをみてネ
ほら、たのしくなるよ、きっと”

・・・って 😥

おみやが描く人参の絵が好きだった
可愛かったね 😳

 

 

今まで本当にお疲れさまでした

そして、ありがとう

何時の日か、私も役目を終えて
そっちの世界へ行ったら

きっと二人で迎えてね
15の時の制服姿で

思い出

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けんちゃんのいりこ屋店長・ひさみん(久光智子)
けんちゃんのいりこ屋店長・ひさみん(久光智子)

鞆の浦でいりこ屋を営んでいます。趣味は描く、綴る、歌う。特技は有り合わせで思い付き料理を作ること。
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